残暑ひときわ身にこたえる今日このごろですが、お元気ですか。
お盆はゆっくりと休むことができましたでしょうか。
『山崎通信』第23号をお届けいたします。
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____山__崎__通__信____________2005.08.23_第23号
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┃日本の9・11
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遠くなった子供のころには、夏もお盆を過ぎれば、夕方には涼しくなり
海水浴場ではがたがた震えたものでした。かすかに吹く秋風に「夏休みの
友」というおせっかいな名前の宿題帳の存在を思い出し、たまっている
絵日記とお天気と図画工作の重さに、夏が過ぎ去る寂しさを感じるのも
その頃でした。地球温暖化で夜になっても熱帯夜のなか受験に追いま
くられる今の子供たちから見れば、まるで異国のようでしょう。
そんな21世紀の日本で、突然総選挙が始まります。総理大臣が郵政民営化
法案への賛否で敵味方を色分けし、反対する自民党議員は公認しないばかり
か、対抗馬を立てています。まるで、ある会社の一部門の全員を解雇し、
外部から代わりの人を雇ってくるようです。とにかく、今までの日本社会に
なかった天才的な切れ味とは言えるでしょう。でも、突然解雇された社員
(議員)たちにとっては、こんな法案のために長年つとめた会社(自民党)
を解雇されるとは、まるでテロにあったようなものかもしれません。
9・11のテロは、アメリカ社会を大きく変えました。対極と信じられてきた
ユダヤ人とキリスト教原理主義者が結びついたのです。世界が永遠に繁栄
するかのようなグローバリゼーションの幻想は見事に打ち砕かれ、むき出し
の宗教、民族対立と石油をめぐる力と力の対決という現実があらわになり
ました。ブッシュ大統領は、すべての国も人もテロと戦う自分の敵か味方か
という一点だけで判断するぞと迫りました。郵政民営化法案だけで敵と味方
をはっきり色分けする小泉さんは、確かにブッシュ大統領とお友達だけの
ことはあります。
総選挙とは、3年から4年間の国の方向を決めるものではなかったのでしょう
か。郵政民営化を争点にするのはいいでしょう。しかし、そこから国全体の
姿が見えてくるのでしょうか。財政は再建できるのでしょうか。国債は減る
のでしょうか。消費税は増税するのでしょうか。年金は維持できるので
しょうか。これから一層進む高齢化社会にどう向き合うのでしょうか。
ますます苦しくなる地方がどうやったら自立できるのでしょうか。アジア
との関係が悪化したままでどうやって日本の成長戦略を描くのでしょうか。
いまだに3%の土地に8200万人が住む過密と過疎の国土のままで、環境問題や
エネルギー問題、将来の食糧問題にどう対応するのでしょうか。そもそも、
小泉さんが総裁である自民党が出した憲法改正案をなぜ国民に問わないの
でしょうか。憲法は国の方向を決めるために重要ではないのでしょうか。
小泉さんは、郵政民営化法案以外の質問は受け付けないのでしょうか。
他の議論は都合が悪いということですか。
郵政民営化で官から民にお金の流れを変えるといった小泉政権は、特殊法人
のための国債「財投国債」を2001年から始め、いまや国民は全部で122兆円、
一人当たり100万円の国債の借金を特殊法人のために背負わされています。
財投国債は商品としては国債なので、民間銀行も個人も買っています。
郵貯が民間銀行になったところで、この国債は増え続けます。特殊法人も
自分で債券を発行する、という欧米では当たり前のことをやらないで、国が
国債でお金を集めて特殊法人にいくらでも貸すから、甘えと無駄遣いが
なくなりません。 特殊法人が自分で債券を発行し、格付けを取れば、道路
公団のように巨額の無駄遣いをすればすぐに債券の格付けが下がって、経営
者が追及されるはずです。ガバナンスが働き出し、まともな経営に変わった
特殊法人の債券にはリスクに応じた国債プラスアルファの金利がついて、
郵貯の良い資金運用先に変わります。郵貯の最大の経営問題に対する解決
ポイントになります。それなのに、小泉郵政民営化は、特殊法人の赤字構造
に手をつけず、肥大化するメガバンクに郵貯を変身させるといいます。
これは、民営化ではなく半官半民銀行の創出です。
こんな法案だけのために、暑いさなかに日本は選挙をすることになりました。
それが日本の9・11になるのでしょうか。
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┃『だまされるな!郵政民営化』(新風舎)怒りの緊急出版!
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自民党の荒井議員とはこれまでの経歴や考えも異なりますが、このままでは
日本が 破綻する、地方から日本が元気にならなければ日本に未来はない、
という危機感を抱いているという点では共通の認識を持ち、この度の対談本
を出版するに至りました。
現状の郵政民営化の問題点を糾弾しつつ、官も民も超えた第三の道を提言
しています。
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『だまされるな!郵政民営化』(新風舎)990円(税込み)
元ゴールドマン・サックス投信株式会社社長 山崎養世
自民党 参議院議員 荒井広幸
コーディネーター 日刊工業新聞社 論説委員 八木澤徹
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● 次号は2005年9月中旬にお届けいたします。どうぞお楽しみに!
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