2004年最初の『山崎通信』第6号をお届けいたします。

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____山__崎__通__信____________2004.1.23_第6号
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┃山崎養世より新年のごあいさつ
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 あけましておめでとうございます。
 昨年中は多くの皆様からさまざまなご支援を頂き、大変ありがとうございま
 した。厚くお礼申し上げます。
 今年また新たな気持ちで日本復活のための活動を続けてまいります。
 よろしくお願いいたします。

 今年は元旦を初めてローマで迎えました。テロやSARSのことも考えましたが
 弾圧や宗教戦争などさまざまな悲劇を生みながらも、二千年の歴史を経て
 なお活き続けるバチカンに行きたくなったのです。

 バチカンで最も印象に残ったのは、キリスト教以前のギリシア時代のトロイ
 の木馬にまつわる彫刻でした。トロイの木馬の危険性を人々に告げたラオコ
 ーンという予言者の像です。長い戦いに疲れていたトロイの人々は、ラオコ
 ーンの警告を聞かず、ギリシア軍から贈られた木馬を大いに喜びました。
 ところが、宴が終わった夜になって、木馬の中に潜んでいたギリシアの兵隊
 によってトロイは滅ぼされたのでした。

 道路公団民営化を思い出しました。

 民営化は、小泉さんと猪瀬さんから国民に贈られた素敵に見える木馬です。
 しかし、そのなかには、道路四公団から切り離して国民に押し付ける40兆円
 の借金という恐ろしい敵兵が潜んでいます。
 将来金利が8%にでも上がれば国民の借金の負担だけで200兆円、国民ひとり
 当たり150万円にもなります。この借金は国民が背負い続けるのです。民営化
 が実現すれば新しい道路の建設はやめるはずだったのにこれまでと変わらず
 作り続けるそうです。当然借金は、その分上乗せされます。
 おまけに、高速道路をいつかは無料にするという、50年前の約束はうやむや
 にされそうです。

 新しい道路公団の総裁は、経営多角化といって張り切っていますが、なんの
 ことはない。公団のファミリー企業が独占しているサービスエリアの営業を
 多角化して、本来なら地域の店やレストランを利用していたはずのドライバ
 ーのお金を根こそぎいただこうというわけです。

 独占企業に支配された場合の利用者ほど惨めなものはありません。
 クルマが重要な移動手段となっている多くの地方にとって、高速道路は唯一
 とも言える安い高速移動手段になるはずでした。

 ところが通行料金が高過ぎて使えない。使われないから収入確保のためにさ
 らに料金を上げる。そんな理不尽を今まで通してきて事実上破綻していると
 言える公団が、大手を振って独占民間企業になるのです。
 民間企業だから収益をあげて当たり前。通行料金を払わないという選択肢は
 ない。誰でも使えるインフラのはずだった自動車専用道路がいつのまにか永
 久有料道路に変わる。巨額の借金は国民に押し付け、利益は独占する民間企
 業になる。国家による損の「飛ばし」です。

 高速道路が永久に世界一高い。こんな民営化なら、国民が文句を言えるいま
 の制度のほうがまだましです。
 そもそも、破綻しているに等しい道路四公団を国民負担なしに民営化できる
 というのが幻想です。高速道路を無料にして道路四公団を廃止する以外に悪
 循環を断つ道はないのです。この現実をごまかそうとするから損失が大きく
 膨らむのです。
 こうした結末になることは、去年から指摘していますが、声高な「小泉民営
 化こそ真の改革」という声にかき消されたのが残念です。

 今のままでも、ガソリン税、重量税、保有税、・・・、年間約10兆円も
 ドライバーから税金を取っています。その税金で全国の道路を整備している
 はず。高速道路は国道なのに道路に入らないのでしょうか?
 この巨大な税金の2割ぐらいを財源に回せば、全国の高速道路は無料にでき
 ます。新しい税金は要りません。

 低金利のいまが金利を固定する絶好のチャンスです。40兆円の道路四公団の
 借金が金利上昇により、いつのまにか大きく膨らむリスクがなくなります。
 道路四公団を廃止し料金所をなくせば、高速道路は無料の自動車専用道路に
 なります。出入り口が増えれば、好きなところで乗り降りすることができま
 す。高速道路が国民のものになります。もっと自由に好きなところにいける
 国になります。

 これが、日本列島快走論と名づけた高速道路無料化の基本構想です。
 もちろん、高速道路が無料になれば、交通コストが大きく下がって経済活動
 は活発になり、税収も増えるでしょう。
 すでにあるものを活用するのですから、バラマキなしに地方が豊かになれま
 す。いまなら、増税なしに、外国にも頼らずに実行できます。

 なぜこんな当たり前のことを実行しないのでしょうか。
 法律はいまも、高速道路無料化は実現しなければならない、と決めているの
 に。

 直轄高速道路という地方の弱みにつけこんだ怪物も登場してきました。
 無料の高速道路は、やればできる、という証明です。
 お前の県に作ってやるよと言われれば、どんな知事でも「要りません」とは
 言えません。高速道路はタダがいいに決まっているのですから。

 えっ、もう一度言ってください。

 「高速道路はタダがいいに決まっているから。」

 そうでしょう。それなら、これから作る分だけでなくいまあるものも全部タ
 ダにしたらどうでしょうか。ただし、首都高速など混みすぎるところは除い
 て。これが、高速道路無料化の基本構想です。
 実現のためには、借り換え国債の発行、財投へのペナルティー支払いなど複
 雑な点はあるのですができるのです。

 高速道路を無料化しようとする考えは、法律をおそらく読んでいない小泉さ
 んが言うような「国民を欺くもの」ではありません。
 国民の代表である国会が道路整備特別措置法の中で定め、歴代政権が実行を
 怠ってきた高速道路の原則です。
 これによって日本の大都市とそれ以外の地域の交通格差を縮小し、分散型の
 国土を作ることこそが、自民党が唱えてきた「国土の均衡ある発展」そのも
 のではないでしょうか。
 道路のバラマキの既得権が2割くらい減るからといって反対することは本末
 転倒ではないですか。

 私は、小泉さん、猪瀬さんにこう言いたい。日本のまじめで善良な国民の心
 理につけこむのはやめてください。なにかすばらしいもののように民営化と
 いうトロイの木馬を讃えるのはやめてください。これから苦しむのは国民な
 のですから。
 あなた方は「道路の権力」そのものにとって最高の結末になるように、改革
 という言葉で国民を欺いたと言えるでしょう。

 心ある国民、そして政治家に告げたい。小泉内閣の道路公団民営化案に賛成
 することは、瀕死の重症を負う日本の財政と地方経済を滅亡に至らしめるト
 ロイの木馬を歓迎するに等しいのだということを。

 あきらめずに訴えていこう、と改めて決意をした正月でした。

 皆様のご指摘、コメントをいただいて、さらに充実した活動を行いたいと思
 っております。
 ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 *ご存知のように『山崎オンライン』
  [ http://www.yamazaki-online.jp/ ]
  には日本列島快走論に関するいままでの論文、Q&A等も掲載しております
  のでご参考になれば幸いです。
  (特に、中央公論2003年11月号掲載の論文で小泉改革の民営化がたどる結
   末について詳しく取り上げています。)

               ─ ◇ ─

 山崎が今考えることををつづった『山崎Voice Now』は、随時更新中です。
 最新の「茶髪とジュリアナ」も、こちらからご覧いただけます。

 [ http://www.yamazaki-online.jp/voice/index.html ]

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● 次号は2004年2月中旬にお届けいたします。どうぞお楽しみに!

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