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____山__崎__通__信_______________ 2006.5.26_
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関係者 様
号外をお送りいたします。
お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。
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┃市場経済を守るもの
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中国経済の最大のアキレス腱は、石油と並んで情報です。もっと言えば
情報の公開と自由が欠けているのです。政治に支配される中国の株式市場
が、いまだに6年前の高値を抜けない一つの原因です。
情報の公開と自由は資本主義の生命線です。必要な情報が広く伝わった
のちに、参加する人たちが異なる解釈を戦わせる場が株式市場や債券市場
なのです。株を買って1分後に売る人もいれば、10年間経営するために企業
を買収する人もいます。単に株価だけ見る人もいれば、経営者の性格まで
判断して買う人もいます。立場も目的もさまざまです。
ただ、判断のための情報は真実でなければなりません。そうでないと市場の
判断が間違ってしまいます。資源が浪費されます。だから、嘘をつく会社や
経営者は処罰され排除されるのです。談合や不正を働く経営者や社員も排除
されるべきなのです。情報を公開し取引を公正にすることは、単に正義感を
満足させるためではありません。我々の社会が限られた資源を有効に使い、
国民の富を増やすために必要なことなのです。
しかし、一般の個人が公開された情報が真実かどうかをチェックするのは
大変に難しいのが現実です。そのために、公正取引委員会(以下、公取委)や
金融庁や警察や検察が存在します。しかし、そうした政府部門よりはるかに
多くの人材を投入して情報を検証し、公開する役割を背負っているのが
メディアなのです。なかでも活字メディア、特に新聞の役割は大きいでしょう。
公取委と新聞は、同じ目的に奉仕する共同体としての社会的な使命を持つと
いえます。
公取委は税金で運営され国民がコストを負担しています。新聞は営利企業
として運営され、広告主や読者がコストを負担しています。さらに大きな
違いは、新聞は公取委が所属する政府についても、情報の真実と公開を
求め、権力と時には対峙しながらも、国民の利益を守る使命を持つの
です。その点が一般の企業と異なります。新聞が社会の公器といわれる
理由でしょう。
いま、パートナーであるはずの公取委が新聞攻撃を行っています。再販
制度をやめさせるという脅しをかけています。新聞とともに情報公開と真実
を守るという観点に立てば、理解に苦しむことです。新聞はなくなっても
いいという公取委の意思表示なのでしょうか。そうだとしたら、新聞のみ
ならず、公取委自身の社会的役割を壊すとんでもない行為といわざるを
得ません。幸い、立法府では与野党そろって公取委に反対しています。日本
の政治家の良識がいまのところ示されているようです。しかし、新聞の経営
は安心できない状態です。
世界第二の金持ちといわれるウォーレン・バフェット氏は、かつてアメリカの
新聞社の株を買っていました。経営が強固で収益性が高かったからです。
その秘訣は、アメリカの新聞が転職や家探し、車の売買などの個人間取引の
広告で成功し、企業広告への依存が低く、収益と独立性を両立してきたから
でした。そしていまネットの時代、フィナンシャルタイムズなどは、ネット
での記事配信が3割程度に達したといいます。利益ではさらに大きな貢献を
していることでしょう。
翻って日本の新聞は、個人間取引をかつてリクルートに取られ、いまネット
取引にとられています。さらにネットでの課金ベースの情報提供にも成功
していません。このままでは、テレビという新しい媒体を活用できずに衰退
し、貴重な日本文化の発信源の役割を低下させた映画産業のような道を
たどるのではないでしょうか。民主主義の危機は続いています。社会的使命
を自覚したうえで革新をとげる経営が新聞に求められています。
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