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____山__崎__通__信_______________ 2006.6.16_
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 関係者様

 号外をお送りいたします。

 お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。

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┃がんばれハンク
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 アメリカの財務長官が交替します。嵐に向かう船のキャプテンが交替する
 かのようです。

 クリントン政権時代には均衡を達成したアメリカの財政は、史上最大の
 赤字額を記録しています。国際収支の赤字も拡大が止まりません。ドルの
 暴落説が勢いを増しています。何よりも厄介なのは、インフレの芽が大きく
 なり、アメリカがコントロールできなくなってきたことです。

 震源地は、まず中国、そしてインドなどのBRICs諸国を中心とした新興経済
 の成長です。アメリカ経済はそうした新興経済に乗るしか成長を続けられ
 ません。いやアメリカだけでなく、日本もヨーロッパもお神輿に乗るしか
 ないのです。人口が減り、国内経済が縮小していく日本は、移民の流入で
 人口が増えるアメリカ以上に新興国の成長に乗らざるをえないのです。

 新興国の成長は消費を生み、エネルギーは使われます。石油という最大の
 エネルギー源の価格を決めている最大の要因です。石油価格が物価を押し
 上げ、消費を押し下げます。物価は金利を押し上げ、家や車の売れ行きを
 落とします。こうした、石油高、ドル金利高、消費減退という予想がアメ
 リカの金融市場を襲い、それが世界の市場に伝わっています。予想は現実
 になるのでしょうか。クラッシュは来るのでしょうか。そんな嵐の予兆が
 しています。

 そんな中で、FRB議長と並んでアメリカと世界の経済の舵取りを引き受ける
 のが、ゴールドマン・サックス社のヘンリー・ポールソン会長です。かつて
 クリントン政権で財務長官を引き受けた、やはりゴールドマン・サックス社
 出身のルービン氏よりも難しい局面にあるように見えます。

 私事になりますが、私が1994年にゴールドマン・サックス社に入社して最初
 の仕事ができたときに、一番にお祝いのEメールをくれたのが、私の部門
 ではなく投資銀行部門の長であったハンク(ヘンリー・ポールソン氏の
 愛称)でした。温かいチームワークの社風とハンクの人柄を感じて嬉し
 かったものです。その後、ハンクはゴールドマン・サックス全体の責任者
 になり、我々の日本の顧客を定期的に訪問し、仕事が取れると励まし、
 喧々諤々の議論をして納得すると思い切って予算と人を増やしてくれ
 ました。日本で私が率いていた部門が、ゴールドマン・サックスとしては
 世界で初めて広告を始めたときは、厳しく釘をさす一方で、支援を惜しみ
 ませんでした。今も感謝しています。

 ハンクの経営者としての手腕は実証されています。ゴールドマン・サック
 スの130年の歴史で初めての株式公開と上場、その後のITバブルの崩壊
 などの難局を切り抜けました。ほかの投資銀行がコングロマリット化に
 走る中で、愚直なまでにホールセールの投資銀行のビジネスモデル、
 そして何よりも社風を守りました。その最大の功労者がハンクでしょう。
 私がゴールドマン・サックス社を離れてもう4年以上になりますが、
 いまだにあれ以上の企業にはなかなかお目にかかれません。

 ハンク、大変でしょうが、どうか世界の経済のために財務長官として
 成功を祈ります。


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