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____山__崎__通__信_______________2006.12.20_
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 関係者様

 号外をお送りいたします。

 お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。

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┃ペニンシュラ・クエスチョン
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 11月にベトナムで、アメリカ、中国、日本、韓国、そして太平洋諸国の首脳が
 集まって、APECが開かれました。ベトナム戦争を戦った国同士もテーブルを
 囲みました。ケネディとジョンソン大統領は、共産主義がアジアに広がるの
 を防ぐためとして、ベトナムに介入しました。実際、アメリカが戦った相手
 は、ソ連や中国に支援された北ベトナム軍、それに支援されたベトコンと
 呼ばれたゲリラ組織でした。アメリカがベトナムから撤退したあと、ベト
 ナムで収容所に知識人を送る恐怖政治が行われ、難民が香港からアメリカ
 にまであふれました。ベトナムは中国と対立して戦争になり中国は撤退
 しました。さらに、隣のカンボジアのポルポト政権は、キリングフィールド
 といわれた何百万人もの国民の大量虐殺を行いました。

 アメリカの介入は失敗しましたが、共産主義を掲げたインドシナ半島が
 恐ろしいところになったことは事実でした。アメリカが描いた恐怖のドミノ
 はその点では本当だったのです。

 そのベトナムですら、今はドイモイ(改革開放)を唱え、中国は反日運動が
 怖いからという日本の企業経営者を惹きつけたりしています。戦争後の
 人口は2倍ぐらいに増え、ベトナムは若い人の活気にあふれています。アメ
 リカがいなくなっても、親米国家ができるとベトナムは証明してくれました。

 イラクへのアメリカの侵攻がよくベトナムに例えられますが、正しくないで
 しょう。サダム・フセインは、9・11のテロを起こしたアルカイダと何の関係
 もなく、アメリカが主張した大量破壊兵器も持っていませんでした。アメリカ
 は全面的に間違ったのです。アメリカが勝ったはずのイラクでは、1ヶ月で
 9・11テロの死者を上回るイラク人が死に、アルカイダや他のテロ組織や宗教
 民兵が勢力をはびこらせ、アメリカが嫌うイランの勢力が増しています。もう
 内戦状態であり、イラク人の命はサダムの時代より危険にさらされています。

 アメリカが先制攻撃をしたことで、悪の枢軸と呼んだイランも北朝鮮も、
 核を獲得することに躍起になり、一つは核を持ったと宣言し、片方は原子力を
 持つぞ、と宣言しています。制裁をすれば暴発するでしょう。ミサイルが
 無くても、その気になればテロは起こせるのです。

 アメリカの間違いの代償はあまりにも大きいといえます。国連の安保理事会の
 筆頭に来るべきアメリカが、国連のメンバー国家を根拠無く攻撃し、いまも
 謝罪していません。結局、核を持ったほうが攻撃されない、とわかってしまい
 ました。

 そんな今、船橋洋一著『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』という本が出ま
 した。北朝鮮をめぐる6カ国の動きを糸にして織った1枚の織物のようです。
 私たちは、世界の情勢という氷山の一角しか見ることができません。
 ところが、水面下に隠れた多くの部分をこの本は明らかにしてくれて
 います。太陽光線は氷山の中で複雑な反射をし、思いがけないところ
 から出てきます。その総体をとらえるという途方も無い仕事を、
 6カ国の主要人物へのインタビューから描き出しています。
 教訓は複雑で、方向は錯綜しています。現実がそうだからでしょう。しかし、
 その中から、アメリカの誤り、北朝鮮の賢そうでいて破滅につながる姿が
 見えてきます。この本の登場人物たちにこそ読んでほしいものです。


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┃良いお年を!
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 山崎通信も年内はこれが最後の配信になります。
 今年も読者の皆様の温かいご支援のおかげで山崎通信を続けてくることが
 できました。本当にありがとうございました。

 来年も、より良い日本や世界を目指し、積極的な意見や政策提言を行って
 いきたいと思っています。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げ
 ます。

 これからが寒さも本番です。皆様におかれましては、お体を大切に良い
 お年をお迎えください。

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