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____山__崎__通__信_______________2007.3.29_
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 関係者 様

 号外をお送りいたします。

 お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。

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┃三つの中国
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 2月28日に『米中経済同盟を知らない日本人』を徳間書店より出版いたし
 ました。多くの方々からお手紙やメールを頂戴し、あるいはメディアに
 おいて取り上げていただき、本当にありがとうございます。今後とも
 よろしくお願いいたします。

 その前日に、上海の株式市場の過熱による、いわば最初のミニミニ規模の
 チャイナ・クラッシュが起きました。市場の動きを超えて、21世紀に世界が
 中国とどのように付き合うのか、中国はどこに行くのかという問題は、
 本当に大きなテーマであり、これからも山崎通信の読者の皆様と一緒に
 考え行動していきたく存じます。

 この通信は、カナダのバンクーバーで書いています。時差ボケで早く起き、
 港の明かりを見ながらです。International Crisis Groupの会議の末席に
 連なるために来ています。会議の中心メンバーである船橋洋一さんと一緒
 です。

 バンクーバーは、サンフランシスコに次ぐ北米第二のチャイナタウンが
 あるところです。平和と安定と繁栄を求めて中国人が移り住んできました。
 対岸のバンクーバー島のビクトリアという町には、『武士道』の著者で
 あり国際連盟事務次長、かついまのユネスコ創設のために代表幹事として
 尽力した新渡戸稲造が眠ります。新渡戸が亡くなったホテルが今も残り
 ます。「太平洋の架け橋たらん」としたサムライらしい最後といえるかも
 しれません。

 日本は、1945年からのアメリカの占領以外は、歴史が記録されてから
 外国に支配されたことがありません。日本人の国家は日本です。当たり前
 と思われます。でも、異民族との、そして、漢民族同士の治乱興亡を繰り
 返した中国は違います。中国人の国家は一つではないのです。というと
 「一つの中国」を否定するものとして猛烈な反発を食いそうですが、いま
 地球上には特徴のある三つの中国人の国家が存在しているといえるでしょう。

 もちろん、一つは中国であり、台湾、そしてシンガポールです。15近い国家
 と直接国境を接する人口世界一の国、九州ほどの大きさの島国、そして、
 もっと小さな海洋都市国家です。毛沢東と周恩来とケ小平、蒋介石と李登輝、
 リー・クアンユー、まったく異なる巨人たちが作った三つの国です。

 一党独裁国家である中国、事実上そうであるシンガポール、選挙による
 本格的な政権交代がある台湾。言論の自由が大きく制約される中国と
 シンガポール、相当自由な台湾。資本主義体制であり続けたシンガポールと
 台湾、資本主義に近づく中国。腐敗の浄化が進んだ台湾、今も腐敗が広がる
 中国、クリーンな官僚独裁のシンガポール。対立と反発を続けながらも経済
 は強く結びついた中国と台湾、中国ではできないことを模索し中国に投資
 するシンガポール。

 これからも、三つの中国人の国家は相互に影響しあい、世界に散らばる
 中国人を巻き込んで動いていくのでしょう。国土と風土と資源、軍事と
 地政学、民族構成、歴史、人の考え方と経験、さまざまな要素が機会にも
 制約にもなるでしょう。

 これから、大きな変化がいつあっても不思議ではありません。中国が、
 台湾の政党も中国本土で選挙活動をやってもいいから統一しようと呼び
 かけたり、あるいは軍事侵攻するぞと脅して台湾海峡が緊張したり、
 あるいは中国で民主化運動が広がって本気で政権交代可能な体制に
 変わったり、10年単位で見ればかなり大きな幅での変化がありうる
 でしょう。「米中経済同盟」など日米をはじめとした外の世界との関係と
 ともに、三つの国家の相互作用を見るための複眼が必要なのだと感じるの
 でした。


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┃雑誌掲載のお知らせ
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 以下の雑誌にお取り上げいただいております。

 ●時事トップ・コンフィデンシャル3月9日号
 『国際経済を理解するためのキーワード「米中経済同盟」とは何か』

 ●日経マネー5月号(3月21日発売)『50歳からの「お金持ち入門」』

 お手にとってみていただければ幸いです。

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