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____山__崎__通__信_______________2005.03.31_
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 号外をお送りいたします。

 お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。


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┃ソニーよSONY、どこへ行く
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 海外に出ると、人は否応なく愛国者になります。
 「なぜ日本は○×なのか、△□なのか?」という質問が、そのまま我々一人
 ひとりへの「あなたは誰?何をする人?」という質問につながるからです。
 特に困るのが「日本とはどんな国なのか?」と尋ねられたときです。
 スシ、スモウ、ボンサイでは伝わりません。いくら西郷さんや信長、吉田茂
 が偉大だ、といっても知る人もありません。サムライ?武士道?せわしなく
 日々を送る現代日本からはかけ離れています。経済大国といっても、働き
 バチ、カプセルホテルというイメージに結びつきがちです。

 でも、そんなときに日本は「ソニーの国」だといえば、理解され尊敬される
 時期が確かにありました。ソニーのウォークマンが、日本のすばらしさを
 何よりも雄弁に語った時代があったのです。ウォークマンは、音楽の楽しみ
 をオーディオルームから解放し、人が歩き、走り、運転する・・・あらゆる
 場面に広げました。しかも、世界中の人たちの手が届く値段で提供しました。
 それは、もはや技術だけではありませんでした。カジュアル文化が
 フォーマル文化に対して勝利した瞬間でした。若者が大人の鼻を明かした
 瞬間だったのです。音楽という宝物が世界中で民主化され、自由化された
 瞬間でした。ソニーの思想のすばらしさに世界が脱帽しました。ソニーと
 同じ国の人間であることに誇りを覚えたものです。

 そんなソニーはどこへ行ったのでしょう。

 6年前に天才技術者であり音楽家であるトップからソニーを引き継ぎ、最高
 経営責任者になったのは、弁舌さわやかな社交家でした。ビル・ゲイツや
 日本国首相やフジテレビ首脳とも親しく、ユビキタス社会を語り、ソニーは
 インターネット時代の主役になることを約束しました。映画作りに巨大な
 資金を使いました。あれから6年たち、ソニーは世界のインターネットの
 主役どころか、日本の家電の主役の座からも滑り落ちました。若者と
 カジュアル文化を捨てて、トップがワインとポルシェを語り、超高価な
 「最先端製品」の開発に力を入れている間に、世界にそして日本に本当の
 インターネット時代が訪れました。ソニーは見事に取り残されたのです。
 株価は5年前の最高値の四分の一に下がりました。

 そんなさえない最近のソニーのなかで、唯一元気なのはゲーム分野です。
 社内の反対を押し切り、後発のゲーム市場に参入した有能な技術者がソニー
 のゲームをたちまち世界一にしました。ゲームはカジュアル文化であり
 若者文化です。かつてのソニーらしい見事な成果でした。ところが、この
 技術者はトップに嫌われたようです。「人の言うことを聞かない」から
 だそうです。しかし、彼がトップの言うことを聞いていたら、世界一の
 ゲームは生まれなかったでしょう。

 先日ソニーの新しいトップに指名されたのは、会社組織人でありメディア
 畑出身のアメリカ人(ウェールズ出身とか)です。PR部門出身の前経営者に
 近い経歴です。世界一のゲームを開発した日本人技術者は、ソニー全体の
 経営からは外されました。一体ソニーはどこへ行くのでしょう。このまま
 衰退の道をたどるのでしょうか。

 21世紀に入って、インターネットの主役はパソコンから携帯に代わりました。
 世界中に増殖した携帯こそ、インターネット社会の大本命になりました。
 安くて便利で、どこでも使えて、小さくてパワフルで、何でもできて、
 どんどん成長して・・・技術を超えて世界を変えています。携帯こそソニー
 の前トップが格好よく語ったユビキタス時代の主役ではないのでしょうか。
 今後ますます、文字・音声・画像・・・デジタル化しうるあらゆる情報と
 それに伴うモノと人とお金のやり取りが携帯で行われるでしょう。その
 携帯時代の主役が、どうしてフィンランドのノキアであり、韓国のサムソン
 なのでしょう。なぜソニーではないのでしょうか。そして、ウォークマンの
 子孫とも言えるiPodでの携帯音楽配信をアップルが行い、ソニーが遅れて
 まねするのでしょう。ソニーは総合電機各社のような電電ファミリー企業
 ではありませんから、NTTやドコモに遠慮することなく世界中で携帯電話の
 ビジネスを展開できるはずです。ブランドイメージと技術力は圧倒的だった
 はずです。インターネットとユビキタス時代の到来を真っ先に語った
 ソニーが、どうしていま携帯の分野で世界一でないのかが不思議です。
 どうしてゲームで成功した技術者を携帯の分野に挑戦させないのでしょうか。
 ゲームと携帯はそんなに違うのでしょうか。PS2はネット端末といえるのでは
 ないでしょうか。外からはそう見えてしまいます。

 理念だけを語り、具体的政策がない国家が衰退するように、ブランドや社会
 だけを語り、実現する商品がない会社は衰退します。ソニーが衰退して損を
 するのは株主だけではありません。日本の誇りが傷つくのです。
 ソニーよSONY、復活してほしいのです。
 いまがソニーの夜明け前であると信じています。


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