━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
____山__崎__通__信_______________2005.07.29_
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 関係者様

 号外をお送りいたします。

 お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃終わるはずがない談合。できるはずがない財政再建。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 道路公団のナンバー2が逮捕されました。業界と行政を巻き込んだ構造的な
 談合事件であることは明らかです。民営化のわずか2ヶ月前です。国会議員
 から転身した総裁は、談合が行われていたことを知らなかったと言います。
 それが事実であれば、組織の実態を何も知らないお飾りの存在であること
 を自ら告白したようなものです。知っていて眼をつぶっていたのであれば、
 さらに問題です。

 しかし、なぜ最高学府を出た公団のエリートと日本を代表する大企業に
 よって、かくも大々的に犯罪が行われているのでしょうか。公団による
 談合が犯罪になるのは、本来必要とする以上の費用を公団が支出し、その
 分を納税者や利用者に負担させるからに他なりません。つまり、国民に
 対する背任行為であり、もちろん建前では禁止されています。しかし、
 現実にはあらゆるところではびこり、積もり積もって巨大な財政赤字を
 生んでいます。どう考えても、個人の資質というよりも組織ぐるみで犯罪
 を起こさざるを得ないシステムが存在しています。

 公団の談合で損をするのは国民です。得をするのは売り上げにありつく
 企業、天下り先が増える公団、行政、そしておそらく政治家・・・・。
 国民を代表するはずの公団や行政や政治家が談合の受益者である限り、
 国民の立場に立って談合をやめさせるのは、検察ぐらいしかいないで
 しょう。司直の手を借りずに、経済システムの中に談合を防ぐ手立ては
 ないのでしょうか。

 民間工事でも、談合はゼロとはいえません。それにしても、官に比べれ
 ば、民の談合はけた外れに少ないでしょう。当たり前です。談合とは、
 必要以上に費用をかけることなので、民間企業で行えば儲けが減ります。
 道路公団のように、わかっているだけで過去2年で約236億円、へたをすれ
 ば数千億円も談合によって支出を増やせば、普通の企業なら倒産してしま
 います。つまり、民間では株主が談合を許しません。その前に、お金を貸
 している銀行や債券を買った投資家がそんな無駄遣いを許しません。そし
 て、当たり前ですが、談合とは逆に経費を減らした会社は、きちんと借金
 を返した上に儲けを増やして、株価は上がり、投資家は喜び、社員も報わ
 れます。民間企業の場合は金を貸した人、株主、そして大企業なら債券と
 株式双方の市場参加者、つまり投資家以外にアナリストや格付け機関まで
 も監視するからこそ、民間では談合による経費増加は困難です。民を監視
 するのは市場です。もし監視するものがなく、自分たちの利益になれば、
 立派な企業も平気で犯罪に手を染めるということが、今度の道路公団の
 談合事件で明らかになったのではないでしょうか。

 「道路公団民営化」によっても談合は無くならないでしょう。それどころ
 か新たな無駄遣いを国民に押し付ける仕掛けが満載です。民営化会社を
 市場が監視するシステムがまったくないからです。まず、民営化会社と
 いいながら100%政府保有の株式会社であり、上場のめどなど立ちません。
 つまり株式市場の監視はありません。官でないから情報公開義務もありま
 せん。もっと問題なのは、借金の仕方です。民営化会社のはずなのに、
 政府保証をつけた債券で資金を調達するのです。実質的な国債発行です。
 「国」、正確に言えば財務省が民営化会社にお金を貸してくれるに等しい
 のです。だから債券市場からの監視もありません。しかも、これからは
 民営化会社ですから国会の追及も及びません。ファミリー企業と呼ばずに
 子会社孫会社をいくらでも堂々と作れます。公団時代よりもおいしくなり
 そうです。

 このようにして日本は、特殊法人の資金調達を国が丸抱え、という奇妙な
 システムを温存しています。官と民の顔を都合よく使い分ける国有民営化
 会社というわけの分からない組織ができています。道路公団民営化という
 エセ改革の本質を、私は二年前から指摘してきましたが、いざ目の前に
 見ると、実におぞましいものです。真の改革を行い、アメリカ・イギリス
 ・ドイツと同様に、高速道路で負担する税金を高速道路に使って通行料金
 を無料にし、公団を廃止すれば抜本的な解決になるのは明白です。

 しかし、規模から言って道路公団よりはるかにおぞましいのが、いま焦点
 になっている郵政民営化です。繰り返し言いますが、郵政の大改革自体は
 必要です。しかし、今回の郵政民営化法案は、アスベストやエイズに見ら
 れたような恐ろしい不作為と先送りに満ちています。「官から民へ資金の
 流れを変え、特殊法人の赤字垂れ流しをやめさせる」という小泉さんの
 大義名分は、見事に消えました。特殊法人の資金調達のために、総税収に
 ほぼ等しい41兆円もの「財投国債」(なぜか財投債と呼ばれています)を
 財務省が発行し、特殊法人に貸すので、特殊法人は債券市場からの監視を
 まったく受けません。国債という名前なので、郵貯や簡保や年金はもち
 ろん、個人や銀行までが、特殊法人に資金が流れるとはほとんど意識せず
 に安心して買っています。特殊法人は、借金を返せなくてもまた財務省が
 追い貸ししてくれるので、もらったお金だと思っていくらでも談合で膨ら
 んだ費用を支払います。積もり積もって財務省から特殊法人への貸付が
 215兆円。総税収のおよそ5年分。一体どうやって返すのでしょう。小泉
 さんは、この財政破綻の時限爆弾は処理しないのです。財政再建が聞いて
 あきれます。

 そろそろアメリカやヨーロッパ並みに、特殊法人には自分で債券を発行
 して市場から資金調達をさせたらどうでしょうか。その分、国債の発行が
 減ります。そして何よりも、特殊法人がきちんと借金を返済するかどうか
 を債券投資家や格付け機関が監視します。これ以上簡単にできる「市場
 テスト」はありません。なにも100人ぐらいしかいない財務省理財局の
 担当部署が、特殊法人や自治体等への360兆円もの貸付の返済を監視する、
 というフィクションをいつまでも続けることはないのです。借金も余裕で
 返済でき、もっと儲かりそうなときには、その特殊法人を上場してもいい
 でしょう。しかし、借金も返せない道路公団のような民営化会社が、高い
 収益を上げるべき株式をどうして一般投資家に売れるというのでしょうか。
 まさか、中国の多くの国営企業の上場のように、粉飾決算で投資家をだま
 そうという訳でもないでしょう。「民」の総本山のように宣伝されるアメ
 リカにも、巨大な政府系金融機関があるのですが、自ら債券を発行して
 資金調達をしています。そして、アメリカでは郵便事業は国営です。全国
 一律の料金体系を維持するには、民営化では不可能という結論をアメリカ
 は出しました。それなのに日本は郵政を民営化するといいます。特殊法人
 の赤字垂れ流しの元凶は、財務省が財投国債を発行し、無責任マネーを
 特殊法人に貸すいまの仕組みに他なりません。ところが、独立採算で黒字
 を出し、国庫に貢献している郵便局がスケープゴートにされようとして
 います。いずれこのツケは、アスベストのようにこの国を蝕んでいく
 でしょう。


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃『だまされるな!郵政民営化』(新風舎)本日、怒りの緊急出版!
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 荒井議員とはこれまでの経歴や考えも異なりますが、このままでは日本が
 破綻する、地方から日本が元気にならなければ日本に未来はない、という
 危機感を抱いているという点では共通の認識を持ち、この度の対談本を出版
 するに至りました。

 現状の郵政民営化の問題点を糾弾しつつ、官も民も超えた第三の道を提言
 しています。

 ******************************************************
 『だまされるな!郵政民営化』(新風舎)990円(税込み)
 元ゴールドマン・サックス投信株式会社社長 山崎養世
 自民党 参議院議員 荒井広幸
 コーディネーター 日刊工業新聞社 論説委員 八木澤徹
 ******************************************************


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃参議院国土交通委員会に参考人として出席しました
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 去る7月19日(火)、参議院国土交通委員会に、参考人として出席しました。
 少子高齢化社会における東京一極集中の限界を提示し、地方から元気になる
 日本を訴えました。

 質疑の模様は、以下の参議院インターネット審議中継でご覧になれます。
  http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/
 ライブラリ内の会議検索において、7月19日の国土交通委員会を選択して
 下さい。


 ………………………………………………………………………………………
 ★メールアドレスの変更をご希望の方、またメールをご不要な方は、
  下記URLよりお手続きをお願いいたします。
 ◇メールアドレス変更 : http://www.yamazaki-online.jp/change.html
 ◇メールマガジン解除 : http://www.yamazaki-online.jp/stop.html

 ★また『山崎オンライン』上でも、随時、変更・停止手続き可能です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
──●          山崎オンライン事務局
─■⌒■───────────────────────────────
      http://www.yamazaki-online.jp/
      E-mail: yyonline@yyoffice.co.jp

○出所の明記をする限り、転送・転載は自由です(ご連絡頂ければ幸いです)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━