わたしは、皇太子さまの一学年上、山口百恵さんとは同学年の世代です。戦後の日本をリードしてきた「団塊世代」のちょうど10年下にあたり、先輩・上司・数々のリーダーを通して団塊の人びとの影響をうけてきました。しかし、彼らも間もなく企業では定年を迎え、大半の人は社会の第一線からはリタイヤします。いま、企業では部課長にあるミドル世代がわたしたちの世代です。団塊層の“岩盤”が崩れ去ることで、40代の我々は否応なしに社会に対して責任と自覚をもって振る舞うことが求められます。
バブル経済の崩壊から14年があっという間にたちました。日本は“根腐れ”を起こし、自信を回復できないまま、静かな「終わり」のときを待っているかのようです。この夏、ロー・ティーンの子どもたちが起こした様々な事件は、日本の“文明病”が限界に近づいてきた証しといえるかもしれません。子どもたちは表面上は無表情で、こころの底に大きな“闇”を抱えたまま、いらだちをぶつけてきています。
彼らの親が、まさにわたしたちの世代です。
「会社の仕事がつまらないのなら、さっさと辞めて好きな釣り宿でも、ラーメン屋でもやってみればいいじゃないか」
「いい学校に入って、いい企業に行けというけど、それって、いかにも古臭い昭和ヒトケタのおじいちゃんたちの押しつけだったんじゃない?」
「情報」という薄紙で武装した子どもたちの嘲笑が聞こえてきそうです。 わたしたちがやるべきことは、
“不条理な社会のシステムには、おかしいとはっきり声を上げること”
“自分の保身のためではなく、公=おおやけのために果敢に行動すること”
“他人に依存しないで、自主・独立の信念をもって、地域や職場をひとつひとつ改善すること”
ではないでしょうか。このことは、こころあるみなさんなら、既に気づいていることであり、“そうしたいんだが、いまひとつ、ふんぎりがつかなくってね”といった気分が世の中を支配しています。 |