~日本の行き詰まりの縮図である高速道路を 本来の「フリーウェイ」にして、ヒトもモノも自由に!~ 日本列島快走論は、大まかに言って以下のようにまとめられます。 1.高速道路をプロの物流ルートから「生活道路」に変える アメリカに比べて出入口が少ない日本の高速道路の出入口をアメリカ並みに3キロごとに1か所に増やして、全国に1500か所の新しい出入口を作る。SA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)を民間に開放して、この新出入口周辺を生活者の町づくりの拠点にする。 無料化で料金所がなくなることで、高速道路と一般道路の垣根は解消し、地域のアクセスは飛躍的に向上する。これまで、料金が高すぎて普段の生活には使えなかった“日本特有の高速道路に関する矛盾”は消え、国民の間に根強くある“あきらめの気持ち”を一新する。時間とコストのハンディを減らすことで、地域ごとの多様なライフスタイルが無理なく楽しめるようになり、大都市圏への一極集中を地方分散に変える契機が生まれる。 |
2.低金利の借り換えで、基本法にそって無料化を現実のものにする 財務内容が悪い子会社の借金を肩代わりして整理するのは、民間では親会社の当然の努め。また、家計で住宅ローンを有利なかたちで借り換えることも生活防衛のための当たり前の手段である。このままでは四公団は120兆円(うち金利が80兆円)以上の債務を抱えて破たんするのは目に見えている。 親会社がオーナー(国民)の財産を守るために、超低金利のいま、30年国債を2%で発行(=これを“世直し国債”と呼ぼう!!)し、40兆円のいまの借金を返済してしまう。30年国債の金利コスト(2%固定)は24兆円になり、80-24=56兆円の金利コストが削減できる。これは、高速道路の基本法である道路整備特別措置法にかなったやり方である(下記図参照)。なお、国債の返済の財源には、いまの道路財源の一部を充てる。試算では、いまの一般道路向けの財源の36%を振り向ければ、借金の返済だけでなく新規高速道路の建設と保守もまかなえる。 |
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国鉄民営化と同様のことが起こる可能性(国鉄債務は結局28兆円の国民負担になった。) |
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ここでは30年債のみとして計算しているが実際には、10年債・20年債なども発行され、金利コストは一層低下する。 |
注: |
実際の発行額は債務の返済に加えて、高速道路出入口の増設費用も織り込んで決定すべき。 |
3.国債の返済と新路線の建設財源はこうすれば、スムーズに行く! この“世直し国債”の返済総額は64兆円。年間約2兆円ずつを道路財源からまわし、30年間で完済は可能である。そもそも道路財源のほとんどが一般道路の建設に充てられていたことがイレギュラーだった。これを変えることがポイント。高速道路が無料になり出入口が増えれば、いまの高速道路と一般道路の輸送力は増大するから、新規の道路を作る必要性は低下するはず。一般道路への支出を削って、高速道路無料化の財源に充てることは理にかなっている。 永田町と霞が関の長年の“常識”をひとつ改めるだけで、ことさら難しい話ではない。丁寧に説明すれば、国民の理解は得られるはずである。 |
4.道路の権限と財源を都道府県に移す。 日本の高速道路の1キロあたりの建設単価はアメリカの40倍!この高額の公共事業をバラまく“土建国家”型政治が今日の行き詰まりの元凶でもあった。 道路予算は面積・人口・自動車保有台数を勘案して都道府県に配分し、地域ごとに特色を生かして道路を早く安く作るインセンティブを与える。建設の決定権限も大幅に地方に移し、国は財源の確保と基本ルートと規格の決定のみに関わる。すでに米英では行われていることである。高速道路を生かしたビジネスは全面的に民間に開放する。 知事や市長が経営者感覚で民間とともに“儲かる高速道路ビジネス”を企画・運営し、いい意味で地域間競争が盛んになることが日本列島快走論の目的のひとつ。これまで、お題目になりがちだった地域活性化の切り札が高速道路の無料化と権限・財源の委譲である。執行は大幅な情報公開と地域づくりへの住民参加を基本として行う。更に、道路を早く安く作って予算を余らせた自治体には、余ったお金を福祉や教育などの財源に使えるようにする。これによって地方の財源不足の問題も大幅に改善する。そして努力したものが報われるシステムができる。 |