快走論 Q&A
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ひと口に無料化といっても、どうやってその後の道路の保守・運営費用をまかなっていくの?
国鉄をJRにしたときのようなことを想像してしまいます。民営化すれば、無料とはいかないはずだし、結局借金の付け替えなのでは・・・?
山崎養世からの回答
■住宅ローンを有利なタイプに借り換えることと同じです。長い目でみれば、いま、一気に返済してしまったほうが国民にとってトクです。

住宅ローンを抱えている人なら、一度は利息の支払いがラクになるローンへの借り換えを考えたことがあると思います。わたしの「無料化」への最初のステップは、これとまったく同じ発想です。企業でも弱ってしまった子会社(道路四公団のこと)の借金を親会社(政府のこと)が肩代わりして子会社を整理することは、当たり前のように行なわれています。
四公団がいま抱えている借金は合わせて約40兆円あります。これに将来の利子の返済を加えると少なくとも120兆円の借金(ローン残高)があります。借金の元金の2倍の80兆円の利子があるわけですね。いま仮に30年ものの国債を2%で発行して40兆円を一気に返済してしまう元手をつくったとします。すると、この国債の金利コストは24兆円になり、金利コストだけでも80-24=56兆円が削減できるのです。

■民営化しても借金は国民のツケとなって残るだけ。無料化したあとの道路建設は都道府県が中心になって一般道路をつくる財源からまかないます。

国鉄を民営化してJR各社に分割したときのことを思い出してみてください。借金は全部、「清算事業団」というところへまわされ、結局28兆円のお金が国民負担として残りました。いまの道路四公団の民営化推進委員会でもこのときと同じ方法を考えています。今度は、「保有・債務返済機構」という借金の“飛ばし先”を作り、40兆円と利子を加えた120兆円を最終的にはここに飛ばそうというのです。国鉄のときの5倍近い国民負担が残る民営化と、わたしの「国債発行による借り換え」とどちらが、負担が軽くて済むかは、一目瞭然ですね。
新しい高速道路の建設費は、いまは主に一般道路をつくる財源となっている「道路特定財源」からまかないます。わたしの試算では、いまの一般道路向けの財源のうちの36%を高速道路分に振り向ければ、国債の返済と新規建設・メンテナンス費用がまかなえる見通しです。このほか、ロード・プライシングによる収入や無料化のための新税を充てることも考えられます。
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