快走論 Q&A
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大都市と地方を短時間でつなぐ高速道路がタダになったら、地方が元気なるという山崎さんの説がピンときません。いまより過密と過疎がすすむことはないのですか?
山崎養世からの回答
■ 地方の交通コストが劇的に安くなり、しかも便利になれば、地方に住む人、地方に移る企業が増えていきます。これが最大のポイントです。

■ 次のポイントは高速道路の“元締め”が国(公団)から都道府県に移ることです。権限と財源を握った地方が多彩な活性化策を高速道路周辺で展開して、真の地方分散が実現できます。


わたしの「日本列島快走論」の根幹は、“道路財源を国から地方に委譲する”ことです。それも、いままでの道路の延長に比例させるのではなく、面積や人口、あるいは自動車保有台数のバランスで都道府県に配分するのです。いまの国と道路四公団の建設システムの中には、「道路を早く安く作る」ためのインセンティブがありません。ここが大きな問題です。
権限とともに財源を地方に移せば、予算よりも早く安く作った都道府県は、その残りのお金を使いみちが自由な一般財源にまわせます。どこも財布の中身は苦しいのが現状ですから、各地は「早く安く作る」努力を始めることでしょう。また、高速道路やその出入口を利用したビジネスは基本的に民間に開放することで、地方に新しい仕事が生まれ、様々なサービス業や研究開発を中心としたベンチャー企業がもっと増えてきます。こうして、官(地方自治体)と民が刺激しあい、分業しながら出入口周辺で「新しい町」を築いてゆくのです。
わたしの試算では、都道府県あたり2000億円程度の財源が委譲できるはずです。これを元手に中央官庁の束縛から離れた自由な発想で、整備をすすめるのです。こうしたエキサンティングな町に、移動コストが下がったことで移住を本気で考え始めた大都市圏のサラリーマン層が流れ込んでいきます。こうして、長年の懸案だった「地方分権と地方分散」が現実のものとなっていきます。
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