■ 都道府県は、無償でSA・PAの運営権を公団から譲り受けます。これを民間に開放してテナント収入をあげていくのです。
遅々としてすすまない、いわゆる「三位一体改革」の突破口になるのが、高速道路無料化の財源を差し引いても、道路財源と建設権限の都道府県への委譲です。都道府県あたり年間で1700億円近くになる財源を委譲して、「道路を安く、早くつくる」インセンティブを与えることが、わたしの日本列島快走論の中心テーマです。
増設される出入り口周辺には、各地域の特性を十二分に生かして、都道府県が知恵を絞って自由に新しい町づくりをすすめていくのです。
SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の所有権は、現行のまま公団(またはその資産引継ぎ先)にとどめ、都道府県はその運営権を無償で公団から譲り受ける方式がベストです。これをいわゆる「公設民営」の手法で運営します。つまり、都道府県が無償でSA・PAのディベロッパーの権利を得て、ここに民間業者のテナントを入居させて運営するのです。保証金のほかに売上の5%程度を受け取るフランチャイズ方式が考えられますが、そこにJリーグの1部と2部を入れ替えるような競争原理を持ち込んで、各施設には緊張感を植え付けることがポイントだと考えます。
■ いまの「道の駅」のような施設が続々とできては元も子もない。出入り口の周辺には特色のある都市計画が欠かせません。
みなさんは、自治体が運営するサービスショップといえば、いまの主要一般道路にあるような「道の駅」タイプの施設を想像しませんか。観光案内所や地元の物産のアンテナショップが並んだ、このような施設ではわたしは不十分だと思っています。PA・SAは、都道府県が知恵を絞った都市計画に連動した個性とアイデアにあふれた施設の集合体でなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。熊本県南小国町に全国的にも有名になった「黒川温泉」があります。ここでは看板を撤去して、自然の景観を守り、温泉情緒だけを純粋に楽しんでもらう努力を重ねています。このように町づくりのプランの中に「看板や不釣合いな住宅をなくして、電柱は地中化しよう」という方針を明記してもいいのです。病院や学校を高速の出入り口付近に立地するケースでは、話題の「規制改革特区」が有効かもしれませんが、都市計画の面では、むしろ環境、生活、景観などの「規制特区」がいいのかもしれません。
いずれにしても、いままでの自治体は「国からもらったお金を国の指図通りに使うこと」で社会基盤整備をすすめてきました。これからは、財布は自分のモノになりますし、地域住民のためにもムダなお金は1円も使えません。まさに民間の経営者感覚で、高速道路周辺に立地する新しいビジネスの舵取りをしていかなければ、地域間競争では勝ち抜けないのです。
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