■ 雇用面でなんらかのサポートを提供するのは、公団とそのファミリー企業などに限定すべきです。
道路四公団の民営化議論の根底には、80年代の国鉄分割・民営化の体験があります。当時は、約30万人の職員を振り分ける大変な作業が伴いましたが、四公団を合わせても職員数は約1万2000人ですし、調整の規模が大きく違いますね。このほか名古屋市の公社や関係団体、いわゆる「ファミリー企業」70社を合わせて合計2万人程度の人びとを直接のサポートの対象に考えています。
わたしが提言する「高速道路無料化」が実現すれば、公団の業務範囲は相当に狭まります。したがって、これらの2万人の再就職については、なんらかのサポートを考えるべきでしょう。
■ 公団の道路事業に支えられてきた民間企業は無料化に伴って生まれる“新たなサービス業”で雇用を吸収します。
問題は、ご指摘いただいたように公団から受注する道路事業を中心に成り立っていた建設業界の雇用です。大変裾野の広い分野ですから、地方の経済にも影響を与えます。こうした業界で働くみなさんは、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)と出入り口周辺を民間に開放することで生まれる“新たな高速道路周辺ビジネス”が積極的に受け入れていくべきだと考えます。ショッピングセンター、アミューズメント施設、ガソリンスタンドとコンビニの併設店舗、学校や病院、物流基地など、業態は無数に考えられます。
加えて、いまの高速バスや一般のバス事業が無料化を機に非常に有望なビジネス分野に成長します。こうした運輸業界も頼もしい受け入れ先になってくれるでしょう。 |