山崎 Voice Now
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金 2004年05月24日更新

政府・与党の道路公団民営化法案では国の特殊法人「日本高速道路保有・債務返済機構(機構)」が債券を発行して資金調達を行う仕組みを取り入れている。しかし、機構による債券発行は非現実的だ。

40兆円にのぼる公団の債務と高速道路資産を持つことになる機構は、負債と資産規模では日本最大の会社となる。その機構が債券を発行するということは、民間会社で最大の額の債券を発行することを意味する。
2003年度(3月26日現在)の普通社債発行額は合計150社で6兆9927億円となった。
約7兆円の債券市場では、公団の債券は吸収できるはずがない。公団が社債を発行するということ自体が非現実的だ。

しかも、公団の債券には、政府保証をつけることになっている。
政府保証を付すことは、借金の返済責任を国民に負わせることに等しい。政府保証債の発行は年間で約9兆円で、40兆円もの債券を一時に発行することはできない。そもそも、政府保証債で永続的に資金調達するのであれば、民営化とは呼べないのだ。
しかも、国に財政リスクを負わせ、会計上も負債となる政府保証債の発行は、性格的には国債と同じではないだろうか。

政府保証債という言葉に国民は騙されてはいけない。
民営化や資金調達という、もっともらしい言葉の裏には、借金をゆくゆくは国民負担にしてしまい、高速道路は永久有料化しようという政府の魂胆が見え隠れしているのだ。

そして、政府保証債は発行しても、実は、それを吸収できる市場能力がないという、始めから不可能な資金調達方法なのである。
また、返せないと始めからわかっている国債を発行し、料金を取り続けるより、当初から国債発行を発行して高速道路を無料にする方が、国民負担はずっと軽くなることを指摘したい。

バックナンバー
【最終話】知事の時代が来る
【第22話】審判とプレイヤーは別に
【第21話】公団廃止、職員はどうなるの?
【第20話】広がる交通手段
【第19話】無料化が生活大国を作る
【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札
【第17話】無料化の経済効果
【第16話】年金・簡保への影響なし
【第15話】今がチャンス、国の肩代わり
【第14話】連結決算で財政再建も
【第13話】どうやって高速道路を無料にするの?
【第12話】アクアラインが無料になれば‥
【第11話】法律を無視して作ったプール制の弊害
【第10話】一時的措置のはずの有料制
【第9話】米英独は高速無料で公団もないって知ってますか?
【第8話】料金と税金の二重取り
【第7話】公共事業と政治家
【第6話】経営多角化という独占
【第5話】民営化のからくり(4) 詐欺まがいの上場
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算
【第3話】民営化のからくり(2)‐II 借金の怖さ
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金
【第1話】民営化のからくり(1) 借金の飛ばし