山崎 Voice Now
【第6話】経営多角化という独占 2004年05月28日更新

道路関係4公団民営化推進委員会の委員である猪瀬直樹氏は、彼自身が過去に批判した利権の巣窟ファミリー企業を肯定する発言をしだしている。猪瀬氏の言う「ネットワークビジネス」とはファミリー企業の名をかえたもので、もっともらしい印象を国民に与えている。
しかし、この民営化会社の経営多角化とは、道路周辺事業の独占にほかならない。これまではファミリー企業は、影でこそこそ展開しなければならなかったが、政府案では、ファミリー企業の増殖を合法化しようとしているのだ。これで、堂々と利権のネットワーク化ができるようになる。

高速道路の上でサービス産業が独占されては、地域経済に与えるマイナスインパクトも大きく、地域経済が疲弊することは明らかだ。
公団の経営多角化は、新幹線の社内販売と同じ性格を持つ。ユーザーは、閉じ込められた空間の中で、高くても、質が悪くても、そこで売っているものを買うしかない。買い物の選択肢が残されないからだ。これでは、ディベートを払って事業を落札するような癒着の温床となる可能性が極めて高い。道路の私物化、独占を促す経営多角化など、言語道断だ。

そして、そもそも公共経済学でも、「軍隊」、「公園」、「道路」は公のものとされている。
ところが、政府の民営化案では、道路は国の公物であることが全く無視されている。国の、そして国民の財産を、一民間企業が独占していいのか。しかも、経営多角化という独占下では、経営効率もサービスの質も悪くなることが目に見えているのに……。

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【最終話】知事の時代が来る
【第22話】審判とプレイヤーは別に
【第21話】公団廃止、職員はどうなるの?
【第20話】広がる交通手段
【第19話】無料化が生活大国を作る
【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札
【第17話】無料化の経済効果
【第16話】年金・簡保への影響なし
【第15話】今がチャンス、国の肩代わり
【第14話】連結決算で財政再建も
【第13話】どうやって高速道路を無料にするの?
【第12話】アクアラインが無料になれば‥
【第11話】法律を無視して作ったプール制の弊害
【第10話】一時的措置のはずの有料制
【第9話】米英独は高速無料で公団もないって知ってますか?
【第8話】料金と税金の二重取り
【第7話】公共事業と政治家
【第6話】経営多角化という独占
【第5話】民営化のからくり(4) 詐欺まがいの上場
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算
【第3話】民営化のからくり(2)‐II 借金の怖さ
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金
【第1話】民営化のからくり(1) 借金の飛ばし