道路関係4公団民営化推進委員会の委員である猪瀬直樹氏は、彼自身が過去に批判した利権の巣窟ファミリー企業を肯定する発言をしだしている。猪瀬氏の言う「ネットワークビジネス」とはファミリー企業の名をかえたもので、もっともらしい印象を国民に与えている。
しかし、この民営化会社の経営多角化とは、道路周辺事業の独占にほかならない。これまではファミリー企業は、影でこそこそ展開しなければならなかったが、政府案では、ファミリー企業の増殖を合法化しようとしているのだ。これで、堂々と利権のネットワーク化ができるようになる。
高速道路の上でサービス産業が独占されては、地域経済に与えるマイナスインパクトも大きく、地域経済が疲弊することは明らかだ。
公団の経営多角化は、新幹線の社内販売と同じ性格を持つ。ユーザーは、閉じ込められた空間の中で、高くても、質が悪くても、そこで売っているものを買うしかない。買い物の選択肢が残されないからだ。これでは、ディベートを払って事業を落札するような癒着の温床となる可能性が極めて高い。道路の私物化、独占を促す経営多角化など、言語道断だ。
そして、そもそも公共経済学でも、「軍隊」、「公園」、「道路」は公のものとされている。
ところが、政府の民営化案では、道路は国の公物であることが全く無視されている。国の、そして国民の財産を、一民間企業が独占していいのか。しかも、経営多角化という独占下では、経営効率もサービスの質も悪くなることが目に見えているのに……。