山崎 Voice Now
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算 2004年05月26日更新

道路公団は、道路整備特別措置法によって、建設費用を料金収入によって返済すると規定されている。
そこで、高速道路の通行料金を決めるにあたって、道路整備特別措置法によって建設費用から料金を算定することになるのだが、ここに矛盾がある。
なぜなら、道路資産の原価が示されない公会計では料金を算出する根拠がないのだ。

建設費用について、「高速道路はじめて事典」、「高速道路づくりの物語 はじめての挑戦」(いずれも高速道路技術センター著、日本道路公団監修)では、名神・東名高速道路の最終建設費用を、名神で1148億円、東名で3425億円と合計4573億円としている。
しかし、今回の民営化議論の中で道路公団が民営化推進委員会に提出した資料では、名神・東名にかかった最終建設費用は合計3兆4867億円となっている。
その差はなんと、3兆294億円の水増しとなっている。これは、"高"高速料金設定のための粉飾といえる。
しかも、実際に名神・東名の利用者からは既に8兆円もの料金を徴収しているのだ。

これでは、企業経営の健全性も、企業内容の開示の適正も欠いている。
道路公団は、粉飾決算という重大な経済犯罪を犯しており、公的機関としてはあまりにも杜撰で、およそ民間でいう経営に値しない経営となっている。

バックナンバー
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【第22話】審判とプレイヤーは別に
【第21話】公団廃止、職員はどうなるの?
【第20話】広がる交通手段
【第19話】無料化が生活大国を作る
【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札
【第17話】無料化の経済効果
【第16話】年金・簡保への影響なし
【第15話】今がチャンス、国の肩代わり
【第14話】連結決算で財政再建も
【第13話】どうやって高速道路を無料にするの?
【第12話】アクアラインが無料になれば‥
【第11話】法律を無視して作ったプール制の弊害
【第10話】一時的措置のはずの有料制
【第9話】米英独は高速無料で公団もないって知ってますか?
【第8話】料金と税金の二重取り
【第7話】公共事業と政治家
【第6話】経営多角化という独占
【第5話】民営化のからくり(4) 詐欺まがいの上場
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算
【第3話】民営化のからくり(2)‐II 借金の怖さ
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金
【第1話】民営化のからくり(1) 借金の飛ばし