道路公団は、道路整備特別措置法によって、建設費用を料金収入によって返済すると規定されている。
そこで、高速道路の通行料金を決めるにあたって、道路整備特別措置法によって建設費用から料金を算定することになるのだが、ここに矛盾がある。
なぜなら、道路資産の原価が示されない公会計では料金を算出する根拠がないのだ。
建設費用について、「高速道路はじめて事典」、「高速道路づくりの物語 はじめての挑戦」(いずれも高速道路技術センター著、日本道路公団監修)では、名神・東名高速道路の最終建設費用を、名神で1148億円、東名で3425億円と合計4573億円としている。
しかし、今回の民営化議論の中で道路公団が民営化推進委員会に提出した資料では、名神・東名にかかった最終建設費用は合計3兆4867億円となっている。
その差はなんと、3兆294億円の水増しとなっている。これは、"高"高速料金設定のための粉飾といえる。
しかも、実際に名神・東名の利用者からは既に8兆円もの料金を徴収しているのだ。
これでは、企業経営の健全性も、企業内容の開示の適正も欠いている。
道路公団は、粉飾決算という重大な経済犯罪を犯しており、公的機関としてはあまりにも杜撰で、およそ民間でいう経営に値しない経営となっている。