【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札 | 2004年06月16日更新 |
日本は年間7兆円もの額の農林水産物を輸入している世界一の食料輸入大国となっている。しかし、こういった形で21世紀も食料を輸入し続けることができなくなるのは明らかだ。日本が将来は、工業製品のモノ作りをどんどん中国に移転しており、それは、中国で作られた製品が将来日本に輸入されるようになることを意味している。しかも、石油などの一次産品の価格は上昇基調にある。従って、21世紀の日本は、余りある貿易黒字の時代に終わりが告げられるため、食料自給率を高めることが必至となる。 そういった意味で、高速無料化と同時に提唱しているのが、「田園からの産業革命」である。日本の農業が自立していくための、消費者と生産者を結ぶバリューチェーンを充実させることで、農林水産業は大きく成長する。しかし、そのときに大きな壁となるのが、日本の物流コストの異常な高さだ。野菜を運ぶにも、米を運ぶにも、トラックが主たる輸送手段となる。それなのに、日本は世界一高い高速料金を払わされているため、物流コストが生産物の価格に大きくのしかかり、農林水産業の発展を大きく邪魔をしているのだ。 逆に言えば、高速料金が無料となれば、地方からの生産物がより安く消費地帯に運ばれ、地産地消の動きも活発になる。さらに、日本の農林水産物は質が高いことで海外から高い評価を受けている。特に、中国では日本産の農作物の人気は高く、高速料金が無料であれば、空港までの輸送手段として高速がより使用されることにもつながり、より安い価格で商品を提供することが可能となるのだ。高速無料化が農林水産業に与えるインパクトは絶大であろう。 |