【第12話】アクアラインが無料になれば‥ | 2004年06月08日更新 |
第11話で触れたように、日本の高速道路は地方を貧しくし東京一極集中を加速する決定的な役割を演じてしまった。その最大の要因は、世界一高くて地方に不利な料金体系にある。首都高速はいくら走っても700円だが、たった15キロメートルのアクアラインで木更津まで行くとなると片道3000円もの高速料金がかかる。まさに高速道路の使用を禁止するような料金設定であり、通る車はほとんどない。 しかし、高速道路の無料化が実現すれば、日本で最大の経済効果が期待できるのが木更津を中心とした千葉圏となる。羽田空港からアクアラインの終点である木更津までかかる時間は、車でわずか20分程度。木更津から川崎までは20分、横浜までは30分、東京までは60分程度だ。降り口の木更津の金田付近は一面の水田地帯。片道3000円ではアクアラインの利用者がいないため、木更津が大発展するという夢は幻と消えてしまい、駅前の商店街の地価はピーク時の10分の1にまで下落したといわれている。 もしもアクアラインが無料になれば木更津は大発展するはず。きちんとした都市計画と投機防止の措置を取り、規制特区としてヨーロッパ型の美しい街づくりができれば、テーマパークのディズニーランドがある千葉県浦安地区などよりも有利な条件を備えている。木更津はディズニーランドよりも羽田から近く、埋め立てのコストも要らない。住宅、ホテル、ショッピングセンター、リゾート、オフィス、病院、学校、介護施設などを建設するにあたって、地価が安いため立地には大変に有利となる。まさにそこに中国がある。アクアラインが無料すれば東京湾岸は一つの環としてつながり、千葉と湘南(神奈川県)も直接つながり、人や物の流れは大幅に改善する。 木更津市だけ見ても、その経済効果は巨大である。現在のアクアラインの出口付近の地価は1平方メートル当たり6万円前後に過ぎない。浦安市の埋立地の地価は現在約100万円である。木更津市の面積は138平方キロメートルで、ディズニーランドの86倍、浦安市全体の8.1倍である。経済価値が地価に反映するという単純な仮定を置いて、仮に木更津の地価が浦安の半分まで達した場合の経済付加価値を大雑把に試算しただけでも8兆6200億円に達する。木更津は、浦安以上に発展するポテンシャルを秘めており、総資産価値は116兆円にも上昇するだろう。 アクアラインこそ、「宝の持ち腐れ」の典型的なパターン。料金を無料にさえすれば、経済効果は高まり、それと共に税収も増加し、アクアラインの借金1兆5000億円を早期に返済することは十分可能でもある。 |