山崎 Voice Now
【第19話】無料化が生活大国を作る 2004年06月17日更新

日本は生活大国を目指すというが、何を意味するのか。一言でいうなら、時間と空間を豊かに使える国のことをいうのだろう。

生活サービス産業には、ショッピングであったり、観光、健康、介護、病院、教育、アミューズメントなどが挙げられるが、そのほとんどは、広い土地を要する。豊かな時間も必要なのだ。それなのに、現在の日本はわずか3%の超過密の土地に8200万人が住み、残りの97%の国土が過疎となっている。生活の豊かさは感じられず、通勤時間が長すぎて自由な時間は残らない。ローン地獄、通勤地獄、ホームレス、自殺、家庭崩壊、孤独死、現代のいかに多くの苦しみがここから生まれていることか。

一方の過疎地となってしまった地域には仕事がなく、過密地には土地がない。さらに大都市の高いコストを嫌って企業は中国に出て行き、地域の仕事はその分減少する。そして、そのような中で高齢社会はこれから進む。

ここで、高速無料化が実現すれば、全国の使われていない土地が一斉に見直され、使われ始めるという現象が起こるのだ。高速が無料となれば、少し離れた安価に放置されていた地域に移ることが容易になる。地方へ人が移り住み、そこへ会社が生まれ、病院、ショッピングセンターなどさまざまな施設ができる。東京に比べ、はるかに地価が安いため、充実したソフトサービスが実現でき、地方に生活大国が広がっていくのである。

バックナンバー
【最終話】知事の時代が来る
【第22話】審判とプレイヤーは別に
【第21話】公団廃止、職員はどうなるの?
【第20話】広がる交通手段
【第19話】無料化が生活大国を作る
【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札
【第17話】無料化の経済効果
【第16話】年金・簡保への影響なし
【第15話】今がチャンス、国の肩代わり
【第14話】連結決算で財政再建も
【第13話】どうやって高速道路を無料にするの?
【第12話】アクアラインが無料になれば‥
【第11話】法律を無視して作ったプール制の弊害
【第10話】一時的措置のはずの有料制
【第9話】米英独は高速無料で公団もないって知ってますか?
【第8話】料金と税金の二重取り
【第7話】公共事業と政治家
【第6話】経営多角化という独占
【第5話】民営化のからくり(4) 詐欺まがいの上場
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算
【第3話】民営化のからくり(2)‐II 借金の怖さ
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金
【第1話】民営化のからくり(1) 借金の飛ばし