【第14話】連結決算で財政再建も | 2004年06月10日更新 |
道路四公団を国の連結子会社として見てみよう。親会社(国)が、不良子会社(道路四公団)の借金を肩代わりしなくてはいけないのは自然なことである。民営化すれば、借金返済が滞り、いずれ、より大きな国民負担となって債務を処理しなければならなくなる可能性が高い。道路公団の債務を、連結決算の考え方で整理することには、大きく3つのメリットがある。それは、1.国民負担の軽減、2.借金返済イコール無料化による経済効果、3.道路支出の抑制効果――である。 1.国民負担の軽減 政府の民営化では金利が上昇したときに、変動金利のため金利負担が大きく膨れ上がるデメリットが大きい。例えば金利が14%に上昇した場合、政府の想定よりも140兆円も借金が膨らむ。公的年金資産がそっくりそのまま消えてなくなる格好だ。それに比べると、無料化ならトータル的な国民負担が大きく軽減され、財政を圧迫せずに済む。 2.借金返済イコール無料化による経済効果 高速道路の無料化によって交通コストが低下し、全国的に景気が良くなっていくシナリオを描くことができる。例えば、秋田県の自動車依存度は約97%と高く、多くの地方は交通手段を自動車に頼っている。これが無料になれば、家計負担が軽くなるばかりではなく、物流コストが削減されることで農林水産業、流通業、運輸業などが栄える。また、交通費負担の軽減は観光産業も発展させる。すると地域の所得が増え、税収も上がる。自動車依存度が高い地域ほど、経済効果は大きい。 3.道路支出の抑制効果 道路財源の中から無料化するため、道路支出が抑制されるようになる。高速道路を無料化すると同時に出入口を増設すれば、高速道路を生活道路として利用するユーザーが増える。そうすれば、高速道路と一般道路の連携が高まり、既存の道路システムの輸送力が飛躍的に向上し、新規路線を建設する必要性が減少するため、道路支出も自然と抑制されるのだ。 そして、無料化の効果は、経済効果に留まらない。産業用トラックは、高速料金が高いがゆえに、高速道路を回避しているのが現状だ。東京を通過するトラックのうち6割が東京には用がないという。これが、アクアラインをタダで通ることができるようになれば、アクアラインは千葉と神奈川を結んでいるわけだから、今までのようにわざわざ通らなくてもいい東京を通り抜け、排気ガスや騒音を撒き散らすこともなくなる。また、無料化によって高速道路の使用率が高まれば、交通事故も減る。高速道路の交通事故率は一般道の12分の1だ。 |