山崎 Voice Now
【第22話】審判とプレイヤーは別に 2004年06月22日更新

 道路四公団改革、道路行政改革が本物となるには、企業の経営では当たり前である「執行」と「監視」の区別が急務の課題となる。

 なぜなら、現在のように、公共事業の執行と監視の両方を国土交通省が行うのでは、お手盛りとなりガバナンスが成り立たないのだ。国交省は、ディベロッパーの役割までしている始末だ。役所が非効率な予算の使い方をいつまでもし続けるのは、何十年にも亘って染み付いた中央官庁の予算システムのせいだ。霞ヶ関では、大きな予算を取ることばかりが評価されるため効率化のインセンティブが働かないのである。

 従って、執行は自治体が行い、それを国が監視することで地方主権を目指す。いわば国交省はプレイヤーから審判へと役割を変えることになる。
各都道府県は、高速道路、国道、県道を一つの予算で一括して建設することで地域開発ができるようになる。
国交省の役割は、道路建設の全体的な立案、財源確保、車社会の整備、自治体の予算執行や情報公開に対する監視に限定する。
将来的には、高速道路建設について地域協議会などを作り、道州制の採用を視野に入れることが、最も効率的な道路運営につながるのではないだろうか。

バックナンバー
【最終話】知事の時代が来る
【第22話】審判とプレイヤーは別に
【第21話】公団廃止、職員はどうなるの?
【第20話】広がる交通手段
【第19話】無料化が生活大国を作る
【第18話】無料化は農林水産業復活の切り札
【第17話】無料化の経済効果
【第16話】年金・簡保への影響なし
【第15話】今がチャンス、国の肩代わり
【第14話】連結決算で財政再建も
【第13話】どうやって高速道路を無料にするの?
【第12話】アクアラインが無料になれば‥
【第11話】法律を無視して作ったプール制の弊害
【第10話】一時的措置のはずの有料制
【第9話】米英独は高速無料で公団もないって知ってますか?
【第8話】料金と税金の二重取り
【第7話】公共事業と政治家
【第6話】経営多角化という独占
【第5話】民営化のからくり(4) 詐欺まがいの上場
【第4話】民営化のからくり(3) 公団の粉飾決算
【第3話】民営化のからくり(2)‐II 借金の怖さ
【第2話】民営化のからくり(2)-I 吸収できない40兆円の借金
【第1話】民営化のからくり(1) 借金の飛ばし